Exhibition

作品展

Exhibition(デンマーク 2001)

“International Workshop Visual Art in Brande”
Remisen Brande (Denmark)


“Fusion in the capacity of Root, Brande”
Japanese paper, Acryl, Sumi, Sad. 92×270cm, 2001



Location (Remisen Brande)

◎Review(「Repetition?」2001)
真鍋俊照(美術評論家)

 新進気鋭の磯部氏の作品は、これまでにも「交わりとしての生命(いのち)」をテーマにした、インパクトの強い作品が多い。
 今回の作品は、デンマークのアーティストレジデンスで制作したものに、「連続し交わる丸」をさらに発展させようとする意欲的なものである。私はこの彼の野外での行為も含めて、深い意味を感じている。特に、地球や生命全体から発信する限りない生命感を、単なるコラージュではない、命の根源に迫る現代の貴重な主張として受けとめている。この主張は、あらゆる現代芸術にとって、今日もっとも大切にしなければならない課題である。磯部氏はこの問題を、気候(日、雨、風)を感じながら制作したという。つまり五感をとおして、自分の身体は主体芸術を追求しながら、例えば樹齢何百年という欅を年輪にした青々とした円は、生命そのものの融合のシンボルである。私には、この青々とした色合いが、大きな輪となって無限大に広がることを示唆しているように見える。同時にこの輪は、生命を地球環境の中で守り、殺りくを繰り返さないというメッセージのシンボルのようにも受けとめられる。
 今われわれに何が大切かと問うことに、磯部氏はこれまで、太い黒い線で禅画に近い輪を描いてきたが、今回は、青い生命のパイプを輪切りにして生命に置き換えるという大胆な発想に変えている。このことが、磯部氏の新しい制作メッセージである。私はこのメッセージの透明感のある主張に、具象を超越した、実に大きな表現力を感じる。ここに展示された作品は、この世に秘められた主体そのものの力である。
 磯部氏は、94年以降、VOCA展選抜など活躍中で、また今年の夏、デンマークのブランデにおいて、現代美術の世界各国から20人の製作者として選ばれ、特に日本の古紙を素材に展開されている。デンマーク体験の成果を、この展示で大いに宣布してほしいと思う。

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